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産後のつらい恥骨痛について
投稿日:2017.09.07
【恥骨ってどこにある?】
普段生活を送っているなかで「恥骨を気にしたことがありますか?」と聞かれたとしても、その答えは「いいえ」でしょう。
股のあたりに違和感があって初めて意識した、という人がほとんどではないでしょうか?
女性では生理の前後に痛みを感じるほか、妊娠中・出産後のお母さんが経験しています。
それでは、恥骨と呼ばれる部位がどこにあるのか、正しい位置を知っていますか?
聞いたことはあるけど、いまいちよくわからない、という人もいるかもしれませんね。
おへそに指を置いてみてください。
真っ直ぐ下にたどっていくと硬いものに触れますが、これが恥骨です。
【恥骨とは?】
つぎに、恥骨の役割を説明します。
恥骨は、簡単に言うと骨盤の一部です。
骨盤については、テレビや雑誌などで目にする機会も多いでしょう。
しかし、骨盤は1つの大きな骨である、と勘違いしている人はいませんか?
実際には、複数の骨の集合体であり、仙骨、尾骨、寛骨という3つの骨からできています。
骨盤の中央に位置する仙骨と尾骨、その両脇に寛骨が1つずつあります。
寛骨もまた、複数の骨が組み合わさってできており、恥骨、腸骨、坐骨の3つのパートによって形成されています。
恥骨の役割は、左右にある腸骨を前面でつなぐことであり、その部分を恥骨結合部と呼びます。
【痛みの原因】
恥骨痛、というのは恥骨結合部に痛みを感じることを指しており、恥骨そのものが痛くなる訳ではありません。
今まで何のトラブルもなかったのに、妊娠・出産を経験して恥骨痛になった、という人もいます。
それでは、産後の恥骨痛はどうして起こるのでしょうか?
○ホルモンの影響
主な原因としてあげられるのは、「リラキシン」という女性ホルモンによるものです。
赤ちゃんが産まれても良い大きさになるまでお腹の中から出てこないように、恥骨がしっかりと締めて守っています。
妊娠後期になり身体が出産準備に入ると、それまで締まっていた骨盤が徐々に開いていきます。
これが「リラキシン」の作用で、赤ちゃんが通れるようにするために働きます。
骨盤は通常よりゆるんだ状態になるので、赤ちゃんの重みで下がります。
恥骨は小さな骨なので負担がかかりやすく、赤ちゃんの頭が押し広げていくときに痛みを感じることがあります。
○出産の影響
出産と骨盤のゆがみは1つのセット、というくらい避けては通れないことです。
出産によってゆるんだ骨盤やじん帯は非常に動きやすく、恥骨結合部も伸ばされたり、ねじれたりします。
ゆがんでしまった骨盤では上半身の重さを支えきれず、ダメージを受けた恥骨の状態がさらに悪化してしまいます。
【恥骨痛は治せる?】
デリケートな部分なので、誰かに相談するとか、病院で診察を受けることにはためらいを感じるかもしれません。
また、時間に追われ多忙な日々を過ごしていると、自分自身のケアはつい後回しになってしまう、というお母さんも少なくないでしょう。
しかし、恥骨痛は個人差が大きいので、いつか治まると我慢していても痛みがひかず、なかには数年に渡って続いた、という人もいます。
症状が進むと、恥骨結合部解離と言って骨盤の前側でつながっているはずの恥骨が離れてしまい、これと言った治療法はありません。
ひどい痛みを伴って起き上がる動作だけでも辛かったり、歩行が困難になったりします。
悪化してしまった場合は自然と治る訳ではないので、痛みが長引いているようであれば放置せず早めの対処をした方が良いでしょう。
【恥骨痛をなんとかしたい!】
たかが恥骨痛、と放っておくのはリスクが高いことがわかりました。
では、恥骨痛を回避あるいは改善できる方法はあるのでしょうか?
気をつけるべき点を例にあげます。
○産後1ヶ月の過ごし方
産褥期とも呼ばれ、お母さんの身体が回復するための大切なときです。
ひたすら安静にすること、これに尽きます。
この時期に無理してしまうと、数十年後の身体にまで大きな影響を及ぼします。
ひどくなると、子宮脱と言って骨盤内にあるはずの子宮が膣から出てきてしまうことがあります。
手術が必要になるほど重大なケースもあるので、すきま時間を見つけては、とにかく横になるよう努めましょう。
○身体を温めること
恥骨痛がある人にとって、血行不良から引き起こされる身体の冷えも大敵です。
入浴の際は湯船にしっかりと浸かる、カイロ等を利用する、など身体を温めることで痛みを緩和することができます。
ほかにも、動作をゆっくりする、ストレッチや骨盤体操をする、など自分でできることがあります。
しかし、いろいろな方法を試しても思ったように改善しなければ、専門機関に相談してみるのも1つの方法です。
骨盤のゆがみによって生じた痛みを治すには、骨盤をもとの状態に戻すことが1番の近道です。
ただし、骨盤矯正するには遅くとも産後6ヶ月までに行なうのが良い、とされています。
その期間を過ぎてしまうと、完治するまでに長い時間が必要となります。
適切なタイミングで専門的な施術を受けられるように、少しだけ勇気を出してみてください。